東京高等裁判所 昭和28年(う)2826号 判決
被告人 深沢徹 外
〔抄 録〕
被告人等控訴趣意第一点及び弁護人控訴趣意第一点について。
仍つて本件記録を精査すると、原審は第五回公判において、所論摘録の証人野田孟司、同篠原春孝、同横田弁、同鈴木寿雄を尋問し、しかもこれら証人の供述を被告人深沢徹の判示事実認定の資料に供していること及び右証人尋問が行われた公判には被告人深沢が退廷せしめられて立会つていないこと、且つその後においても更に被告人深沢に対しこれら証人の供述の内容を知らせる手続を執つておらなかつたこと洵に所論のとおりである。然し乍ら右公判期日における証人の取調にあたつては原審第四回公判において被告人深沢に対し適式に公判期日の告知がしてあり、同被告人は第五回公判に出廷したのであるが、法定の秩序を維持するため合法的に退廷を命ぜられて退廷したものであることが記録上明白であるから、原審が前記各証人の取調にあたり被告人を立会はしめず且つ証人尋問の機会を与えなかつたのは寧ろ当然であつて、原審の措置には毫も憲法第三七条第二項若くは刑事訴訟法第一五七条に違反する違法は存しない。論旨はその理由がない。